以前行った、写真家・川崎佑さんのトークショーにゲストで来ていた野田さんですが、ショーの後に見せて貰ったドローイングのブックがすごかったので、それ以来名前を覚えていました。
その、野田さんの展示があるというので見てきました。
会場のNOTA_SHOPは信楽のちょっと奥まった場所にある、周りを田んぼや木々に囲まれた静かな場所。心配になるくらい田んぼの細い細い道をどんどん進んでやっとたどり着きました。
おそらく、信楽焼の工房だったのを再利用したと思われるNOTA_ SHOPは、横長・平屋のシンプルな建物。
中に入ると一転、元の工房の設えは残しつつも、アート雑貨や選び抜かれたものだけが並んでいるギャラリーショップになっていました。
そんなギャラリーの真ん中に作り付けられた壁?箱?。幅1.5m、長さ10mほどの仕切られた空間が野田さんの展示スペースでした。
スペースの端に小さな入り口があって、そこから中へ入るとコンパクトで長細い空間になっています。
細長いスペースの真ん中に細い道、両脇のフロアに展示が左右シンメトリーに並んでいる。
展示物は、白い長い紙が敷かれた上に、草、石、土、ゼリー?…といったふうに、お正月に神様にお供えする供物?のようなものたちが並んでいました。
これは…何?というのが最初の印象。
空間は細長い茶室のようであり、並んでいるものはプリミティブで展示というよりやはりお供えのように見える。
四方の壁の下は抜けていて、そこから冬の西陽が射してくる。
一回性のインスタレーションという感が高まる。
置かれているものを端から見ていくと、何かの種子?、草、藁、土、ゼリー、石、鉢に草花…。
農耕周辺の営み…のようなものも感じる。
言葉をポツポツと打っているような感じで、キーワードが頭に入ってくる。
そうやって、日本的なお正月を迎える準備のような、風習や世界観に包まれていく気がする。
これはアート?
アートなら文脈やシンボルや寓意があるのかもしれないが、私は詳しくないので体感で楽しむのがいい。
空間に入ることで世界観に浸る。
それによって気持ちが動かされる。
普段日常では感じない、感覚や体験で頭の中が洗われたり動揺させられたりする。
今時のアートは美しいもの…というより、後味の良いものは少ない。
何か考えさせられたり、気持ちを揺さぶってくる…。
そんな体験を楽しむことができる。
これがひとつの楽しみ方。
野田さんは、別の場所でもこういったインスタレーション展示をやっておられるようです。
もし、見つけたら一度見に行って欲しいと思う。
甲賀市近辺ではなかなかできない体験ができると思うので。
link:NOTA_SHOP
https://nota-and.com/shop/