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甲賀市の職員募集のポスターが話題になっていたので、ちょっと深掘ってみた。
- 2023/6/15
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(殴り書きです、後ほど推敲いたします。書きたい意味がねじれている場合がありますのでご了承ください。)
先日、facebookで知ったのですが、甲賀市の職員採用ポスターが話題になっているらしい。
どういうものか調べたところ、いろいろと気になることがあったのでブログに書き留めておきます。
コンテンツ
話題になった甲賀市役所の職員採用試験のポスター
元々は、市長のfacebook投稿だったか?でポスターのことを知って、これを取り上げた読売新聞の地域ニュース記事で全貌を把握しました。
その内容は、以下のようなもの
・志望者向けに、「あなたの特技は、必ず、活かされます」と呼びかけ。
・5月29日から、大学生らの利用が多いJR草津、南草津両駅、また近江鉄道や信楽高原鉄道の駅舎などで掲示。
・ポスター制作は、若手職員のやる気を促す研修として庁内初のコンペを実施。
・12人が集まり、3人ずつに分かれて、広告会社のアドバイスも受けて作った。
・岩永裕貴市長ら三役と若手職員らによる最終審査。
・子育て政策課の藤江いずみさんらのチームが優勝。
・ポスターのキャラクターは藤江さんの手描き。
・「毎日、子どもたちと奮闘。万歳」「企画大好き、お祭り男」「フットワークは軽い方」とセールスポイントをPR。
・岩永市長は「誰にでも居場所や活躍できる分野があることや、手描きであたたかさがよく伝わる」と講評。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230530-OYO1T50009/
これがそのポスター
ポスターを見た印象
私は、このポスターを見て色々なことを感じてしまいました。
特に、グラフィックをやっていた作り手側として考えることがいろいろとありました。
まず、パッと見の直感的な印象は…
・なぜこのイラスト?タッチも荒く洗練されていない?
・なぜこのコピー?特技?必ず?活かされる?…本当なのか?なぜか不安になる。
・フットワーク軽い、お祭り男、…ノリがなんだかね…。
・これらの要素は、ポスターを”仕上げるための手管”になってないか?
という”微妙な違和感”のようなもの。
また、ポスター制作の作戦の方向から見ると別のことも思います。
・普通ではあり得ない見た目に引っかかってしまった(掴みはOK?)。
・プロの絵ではないイラストのタッチが逆に目新しく感じるかも。
・ポスター全面、キャッチコピーまで手書きで描き切ったところは良かったかも。
・個人のニッチな特性を取り上げているところは、見る人に響くかも。
などです。
このように、私はポスターを見て、肯定的なものと違和感が混在する印象を抱きました。
そして、どうしても「このポスターは良いのか?良くないのか?」を決めたくなって、
頭の中でいろいろな考えがぐるぐる回るのでした。
このポスターの手法と効果の分析
こんな風に、珍しいデザインのポスターを見て、「これはこういうものだろう!」と結論が出せない状況にモヤモヤしてしまったのですが、頭を整理するため、このポスターの手法と効果を考えることにしました。
まず、手書きでほぼ全面を構成したことですが、これは賛否両論ありそうですが、私は一回だけならアリかと思いました。
普通なら、プロのイラストを使って、Macで制作した美しい仕上がりのグラフィックとなるですが、この既成概念を、ばーんと打ち破った手書きポスターがインパクトがあります。
手書きイラストも、見た目かなり荒っぽいですが、成立させるだけの上手さも保っています。
これが、わりと絶妙な加減です。製作者の苦労には拍手です。
そして、メインのキャッチ「あなたの特技は、必ず活かされます!」というコピーです。
この言葉によって、多くの見る人のスイッチを入れたと思います。
「私でもいいの?」という人たち以上に、もっと前向きな人にも響いたと思います。
こういう人たちは、自分の能力を活かしたいと思っているはずですから、このコピーには反応するでしょう。
さらに、ちりばめられた”特技の例”ですが、仕事に通ずると思わせるような、個人の得意が挙げられているのですが、これも悪くないと思いました。
社会人未経験の若者たちに、仕事というものはどういう特性が役に立つのか?ということを、想像しやすく説明しているように思います。
これによって、応募してみようか…と思わせる。
つまり、応募の可能性を広げることに成功していると言えるのです。
「あなたの特技は、必ず活かされます」って、どう?市民ファーストに沿わない?
ここで、ちょっと気になったことも書いておきます。
軽いツッコミです。
このポスターの目的は、甲賀市の職員採用です。
これについて最高の結果が得られれば、目的達成できたということです。
では、最高の結果とは何か?
それは、優秀な人材が甲賀市に採用されることです。
そのために、募集している人材の条件をポスターで告知しているのです。
しかし、ポスターを見ると、ちょっとズレてない?
それは、募集の焦点が”応募する人にとって配慮されたもの”になってる気がするのです。
あなたが、どんなにニッチな特技・特性しか持っていなかったにしても、甲賀市では必ずそれを活かせます…と。
良く考えると、これ、市民が市役所にしてほしい仕事とはすれ違ってる気がするのです。
市民は、市役所職員には住民サービスをちゃんとこなせる優秀な人材に来て欲しいはずですが、
これと、応募者の個性が生かせる職場….といのは、少し違うことだと思うのです。
(もっと言うと、市役所の職員が自分たちの思う人材を市民抜きで募集すると言うのは、本来おかしいとも言えなく無いのです…)
制作内製と仕掛け人を想像する
では、どうしてポスターを自力で作ることになったのか?という点について想像してみたいと思います。
そもそも、ポスターの制作であれば、市役所内では仕様とイメージくらいを決めて実制作は制作業者に依頼するでしょう。
しかし、それが、市役所の職員が自分で立案からイラストまで描くというのは、とても珍しいことです。
それに、市役所内の有志?3組でポスター案を考えてコンペまでしたということですが、ここまで職員の手を煩わせるというのは、考えられない。市役所内のあちこちから疑問?も出たのではないでしょうか?
しかし、メリットがあるとしてこれを実行した。
これには仕掛け人がいると想像しています。
実は、昨年?甲賀市役所に来られた方で、元広告代理店勤務のコピーライターという方がおられるのです。
この方が、絡んでいないとは考えられない。
この人事、甲賀市役所内に新しい風を入れようという意志が感じられます。
今回は、そんな元代理店のコピーライターさんの戦略があったのでは?と思うのです。
では、ポスターを職員で制作する意味は何でしょう?
それは、職員募集という普段たら専門の部署と専門業者にお任せしてしまうところを、自分達で募集内容から制作工程まで行うことによって得られるメリットがあるからです。
そのメリットとは、
・現場の職員の感覚を取り入れ、現場に即した募集ができる。
・いい意味で、素人のハプニングが期待できる。
・隣にいる職員がポスターを作る…ということで、職員全体に響き、職員全体をこの企画意識することになる。
・それによって、職員それぞれが人材採用〜市役所の仕事を見つめ直すことができる。
・ポスター作りという一種の”祭り”を仕立て上げ、全職員を巻き込みやる気を再活性化させる。
・なにより、特技が生かされている例になっている。
ポスターをわざわざ自分達で作る…ということで、職員の間に刺激を与え、
仕事に対する意識を変えていこうというのが、このポスター制作の裏にはあるのではないでしょうか。
そんなポスターを採用する甲賀市という街
全ては、”甲賀市”の意思からはじまっていることです。
元広告代理店勤務のコピーライターを採用して、職員募集ポスターを自分達でつくってしまう。
こんなことをするのが、今の甲賀市ということです。
それは、ただ普通のことを普通にこなしているだけではない…ということです。
守りに入っていてはパフォーマンスは下がります。常に攻めの姿勢が必要なのです。
そんな姿勢が見て取れます。
この甲賀市の職員募集ポスターは、メディアに取り上げられ既に話題になっています。
応募の母数が増えたことで、優秀な人材が採用される可能性は高まります。
おそらく、今後、観光・移住などの分野でもこれまでに無い発信があるに違いありません。
今は、そんな甲賀市に期待できると思っています。
この記事を書いた人
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地元甲賀内から県内で印刷・web制作、写真撮影などをしています。デザイナー、写真愛好家。
2000年からホームページ・ブログを開始、写真、デザイン、地域...について発信を続けています。ここでは、甲賀市の面白いことを取り上げて記事にしています。特に文化・芸術・カフェ・地域振興のことが多めです。
FUJFILMのカメラ愛好者。PHaT PHOTO100Point達成。
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